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プロ意識

先日、お会いしたある写真家から、ちょっと面白いお話しを聞くことができました。
その人は、ここ数年、ある地域に集中して取り組んでいるのですが、自分の作品をチェックする手段の一つとして、地元の子供たちに作品を見てもらっているそうです。
子供たちの批評は実に面白く、時にはハッとさせられることもあるそうですが、中でもある作品についての指摘にショックを受けたと言います。

それというのは、夜空を長時間露光で写して星の軌跡を捉えた作品。星の軌跡を風景と絡めて、時間の経過を表現することを意図したものでしたが、子供たちはキョトンとして「なにこれ?」
星であることを説明すると、「星空はこんなんじゃない」とバッサリ切り捨てられてしまいました。
驚いて、大人たちにも見せたところ、子供たちと同様の反応。
写真表現としてはありふれた手法が、見る人によってはまったく理解されていない場合もあるという現実に考えさせられるものがあったそうです。

もちろん、長時間露光で星の軌跡を撮る技法が、一概に悪いとは思いません。
そのような技法を用いた作品に秀作、傑作は数多くあります。
また、難しい技法を駆使して、思い描いた画像を得ることは、写真撮影の醍醐味の一つでもあるでしょう。
しかし、プロである以上、撮影の快感に酔ってばかりもいられません。思いを伝えたいと思っている相手のことを無視していては仕事が成り立たないこともあるからです。
「子供や素人の意見なんて・・・・・・」と無視せず受けとめて、そこからなにかを得ようとする姿勢に、プロの表現者としての意識を見た思いがしました。
by fukei-kaoru | 2009-08-20 20:01 | 人・写真家


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