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写真を組むということ

『風景写真』の第2口絵には、著者の了解を得て、採用されなかった構成案を解説入りで掲載しています。でも、これは本来、舞台裏の話で読者にお見せするようなものではありません。では、なぜ載せているのか? それはまさに「編集者の勝利!」にコメントをいただいた、さいはてさんやみぞんさんのように、写真を組む、並べる面白さに気付く方が一人でも増えてほしいと思うからです。

組写真の話をすると、皆さんの中には「組写真と単写真はどちらが優れているのか」とか、「私は組は性に合わないので単写真でいい」などと言う人がいますが、そもそも、風景写真における組写真とは、単写真の集合体と言うことができます。複数の単写真を並べて見せるとき、どうすれば効果的かを考えることが組写真の土台であって、どっちが優れているかなどと考えるのはナンセンスです。

しかし、あまりに撮影対象に一貫性がなかったり、あるいは限定的すぎると、多くの場合、写真を組み合わせることによって得られる効果が乏しくなります。そうなることを防ぐには、ある程度テーマを持つことが必要となるわけですが、このテーマというものが多くの皆さんにとって厄介なものに感じられるようです。

5冊目の風景写真BOOKS Artist Selectionとなる小林英樹さんの『LIFE 地獄谷に生きる』が発売されていますが、この写真集にはあるテーマが立てられています。それがなんであるかは、実際に読んで感じていただきたいのでここでは明かしません。ただ、そのテーマとは、実は小林さんの写真集を構成するにあたって編集部が立てたものなのです。
小林さんは、約10年にわたり“地獄谷のニホンザル”という“大きなテーマ”の中で、心に触れたシーンを様々に撮り続けてきました。そうして蓄積したストックには、親子の愛情、愛くるしい小猿の姿、生きる戦い、厳しい冬の暮らし、そして風呂に入る姿など、実に多様なシーンが含まれていて、かつ十分なボリュームを持っていたのです。そのため、編集部では小林さんの作品の中から、“写真集を構成するテーマ”をいくつも考えることができました。

つまり、取材の過程においては、あまり厳密にテーマを設定する必要はなく(設定しても良い)、地域や素材など、大まかに対象を絞るだけでも構わないのです。その方が小林さんの写真集のように、編集段階で、様々に料理ができる楽しみが生まれる場合もあります。

ところで『LIFE 地獄谷に生きる』が内容性豊かな写真集にまとまったのには、見過ごせないもう一つの理由があります。それは、小林さんが捉えている対象が“命そのもの”である、ということです。ニホンザルという命を持つ存在の姿を借りることによって、写真集に命の尊さ、強さ、儚さといいたものが描かれ、内容に深みを与えていると言えるのです。

では、直接生命の存在が写っていない風景写真ではどうなるのか……。皆さんは、もうお気づきではないでしょうか? そう、風景であっても、その背後にある命の存在や自然のシステム、あるいは風土や人の暮らしとの関連、または、風景に投影する自らの心情や美意識など、見た目の美しさだけでない何かに着目することによって、写真集などに構成したときの内容に違いがあらわれると言っていいでしょう。

地域などの対象を絞ることによって、そうした着眼点を見つけやすいと言えますし、逆に着眼点が見つかれば、どこで撮っても、一つのシリーズとして連なるものが撮れます。

テーマを持って写真を撮ることの意義、複数の作品を構成することの効果と面白さを知っていただくためにも、『LIFE 地獄谷に生きる』はぜに皆さんに読んでいただきたい写真集なのです。



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審査:小林義明/石川 薫


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小林英樹写真集
『LIFE 地獄谷に生きる』
[風景写真BOOKS Artist Selection no.005]
(PDF)
縦200×横220ミリ・ソフトカバー・96ページ
価格:2310円(税込)
お問い合せ:風景写真出版(TEL:03-3815-3605)

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小池清通写真集
「Whispers from the Sands 大砂丘の声」
[風景写真BOOKS Artist Selection no.004]
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お問い合わせ:風景写真出版(03-3815-3605)

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by fukei-kaoru | 2008-04-29 02:33 | 風景写真

編集者の勝利!

「編集部から送られてきた構成を見て驚きました。(中略)その内容は描いた自分のイメージとはまったく異なっていました。自分では気づいていないもう一人の自分を再発見した思いと同時に、編集者の客観的な視点に感心した」

『風景写真』5-6月号に13ページのギャラリー「春の鼓動・奥山の遅い春」を発表した増井 治さんはエッセイの冒頭でこのように書いています。
ギャラリーのページでは、通常、作家から預かった作品から、編集部が作品を選び、構成を決めています。作家にこのように言わせたことは、ある意味で編集者の勝利です。
これは増井さんを負かしたという意味ではありません。編集者として自分の仕事を果たすことができた、という意味です。

写真を選んで、構成するって、やってみるとわかると思いますが、すごく面白いんです。それと同時に自分の作品に足りないものが見えてくると思います。
[第2口絵]では、誌面に掲載されたのとは別案の構成案と、その解説が掲載されていますので、参考にしてチャレンジしてみてはいかがでしょう。



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by fukei-kaoru | 2008-04-25 21:20 | 仕事

水中写真家・中村征夫さん

ポートレートギャラリーでのパーティーが終わった後、本誌「俳景通信」でお馴染みの板見浩史さんのお誘いで、水中写真家の中村征夫さんたちと呑みにいくことになりました。
場所はポートレートギャラリーすぐ側の中村さん行きつけの串焼き屋さん。まずは中村さんオススメの「トロトロ軟骨」をいただいたのですが、これが絶品! 口の中でほどけるような軟らかい軟骨の食感に、タレの甘み、きざんだネギのピリッとした辛みが絡み合って、口の中が幸せになりました。ほほ肉の串焼きもシンジラレナ〜イくらい軟らかくて、美味しかったです。
[業務連絡]四谷には、まだ美味しいお店がありましたよ、Hさん!

中村さんと親しくお話しをさせていただくのは初めてなのでが、すっごくチャーミングな人で、お話しして5分でファンになってしまいました。温かくて、大きくて、自然と写真、それに人が大好きという感じが、柔らかな東北弁といっしょにキラキラこぼれてくるような人でした。
他に同席されていた皆さんも、パワフルかつ誠実に仕事をされている方ばかりで、大いに刺激を受けました。
ご馳走様でした!

中村征夫写真展 命めぐる海-都会の海から聖地の海へ-
会場:日本橋三越本店 新館7Fギャラリー
会期:2008年4月29日(火)〜5月11日(日)
10:00〜19:30(20:00閉場)



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by fukei-kaoru | 2008-04-24 09:59 | 人・写真家

粋な業務命令

昨夜は四谷のポートレートギャラリーで開催された、Three Cafe's Photo Clubの写真展「水のあるところ」のオープニングパーティーにお邪魔しました。

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「Three Cafe's Photo Club?」皆さんには馴染みがないかもしれませんが、実は写真の額装や、写真展の展示をサポートするイマジン・アートプランニングさんという会社の社内フォトクラブなのです。
この写真展は、普段業務として扱っている一枚の写真が、いかに作者にとって思い入れのあるものかを知ることを目的に定期的に行われているもの。つまり、“業務命令”による写真展なのですが、皆さん写真の腕前もなかなかのもの。結構、業務命令を楽しんでいるようです。

e0041948_22244341.jpg写真も良いのですが、そこは額装を扱う会社の写真展。見どころはなんと言っても、一人一人、自分の作品の雰囲気に合わせて趣向を凝らしたオリジナル額です。浅井愼平さん、中村征夫さん、前田晃さんといったプロ写真家の作品も素敵な額装で展示されています。
オートバイの写真にメタル調の額。
ハードな雰囲気ですが、無骨ではなくて、
部屋に飾ると格好良さそうです



『風景写真』の5-6月号では、「写真展の開き方」で自分で額装することの楽しさを紹介していますが、この展示をご覧になれば、“写真を見せる”ことの楽しさと可能性にきっと皆さんも目が開けると思います。

写真の世界って、実はイマジンさんのように熱意があって、写真が大好きな人たちに支えられています。でも、イマジンさんの話ではありませんが、業界全体としては、熱意とか、愛情とか、熟練の技術といったものが顧みられることが少なくなってきているような気がします。
デジタルの時代になっても、写真って機械に入れてスイッチ、ポンで「はい、できあがり」ってものではなくて、どこまでいっても、アナログ的な部分、人間的感性、感情の部分は捨てきれないものだと思うのですが……。
写真展は5月7日まで開催されています。

ところで、この夜にはもう少し続きがあるのですが、それはまた明日にでも。



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by fukei-kaoru | 2008-04-23 21:22 | 人・写真家

かしこみ、かしこみ〜

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突然思い立って、編集部揃って神田明神地図)にお参りに出かけることになりました。
神田明神は正しくは神田神社と言い、明神とは祀られている平将門公のことであるそうな。もともとは大黒様(大国主命)や恵比寿様を祀る神社で、東京では商売繁盛、事業繁栄を願う神社として親しまれています。

“突然思い立って”と書きましたが、何もないのにそんなことを思い立つわけはありません。
実は最近、仕事上でいくつか気持ちの良くない出来事が続いてあり、編集部一同「流れを変えたい!」ムードが高まっていたのです。
で、誰が言うでもなく「お参りに行こうか……」と。

でもそこで「どうせ出かけるなら、美味しいモノでも食べに行こう!」となるのが、『風景写真』編集部らしいところ。
まずはエビフライを食べに行こう!ということになりました。

2駅電車に揺られ、10分ほど行列に並んで、ようやくありついたエビフライは、サクッ、プリッ、プッツンという歯触りが快感!
今日はさらに、適度にレアな揚げ加減が絶妙な帆立フライ、サックリとした衣と濃厚でとろける食感のソースとのコントラストがたまらないクリームコロッケもついたセットで一同大満足です!
ボリュームも十分で、もう何も思い残すことはありません。
さぁ、帰ろう!
……じゃなくてお参りに行くんだって!
「で、どっち?」
(全員)「…………」
「誰か調べてないの?」
(全員)「…………」

e0041948_184434100.jpgと、まぁ、そんなオトボケもありましたが、心地よい春風の中を30分ほど歩いて、無事神田明神に到着。
社員揃って、こういう場に来るのは初めてですが、たまには神聖で厳かな雰囲気に身を置くのも悪くありません。
頭を垂れて、巫女さんの振る鈴の音を聞いていると、本当に身体の中の悪い気が消えていくような気になるのですから不思議です。
昔は、会社で揃って神社にお参りなんて、「かったるい」としか思えませんでしたが、だんだん、こういうものが理解できる歳になってきたようです。
(と言うと、他のみんなに失礼か?)


e0041948_18462388.jpgそんなこんなで、風景写真出版のご祈祷は滞りなく終了したにはしたのですが、想定外のことが一つ。
ご祈祷の後にいただいた御札が高さ50センチ近くもあるビッグサイズなのです。
こんな立派な御札をそこらへんに張り付けておくのは神様に申し訳ない。
というわけで、今度編集部に神棚をつくることになりました。
かしこみ、かしこみ〜。



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by fukei-kaoru | 2008-04-21 18:47 | 仕事

人生いろいろー『LIFE 地獄谷に生きる』

「癒されたい!」って思うこと、ありませんか?
でもそんなときって、よくある「癒し系」の音楽とか、本とか読んでも、ちっとも癒されない。少なくとも私はそうです。
だって、そもそも「癒されたい」なんて思うのは、ストレスが掛かっていたり、精神的に疲れていたりして、でもそんな日常から逃げ出せないから、何か別の方法でリラックスしたいと思うのであって、リラックスして休めるなら初めからそうしてますって。

4月15日に「風景写真BOOKS Artist Selection.no005」として発売された小林英樹さんの『LIFE 地獄谷に生きる』は、そんな甘っちょろい癒し“系”の本ではないけれど、読めばきっと本物の癒しが感じられると思います。

タイトルの「LIFE」って、とてもありふれた英単語ですが、日本語に直すといろいろな意味があります。
「生命」「いのち」「いきる」「人生」「世の中」……。
本書に描かれているのは、地獄谷に生きる猿たちの様々な「LIFE」。
彼らは日々、愛して、遊んで、時には闘い、苦しみ、そして痛みを感じています。
そこにあるのは、さまざまな感情の中で過ぎていく猿たちの日常。
そして、それは猿も人も変わらない「LIFE」なのです。
多分、皆さんも本書を読めば、猿たちに自分を重ねずにはいられないはず。
そして、こう思うのです。
私たちに時々繰り返す辛い出来事も、人生の一部。
「嫌なことも、悲しいことも、風呂入って忘れよう」って。

話はちょっと違いますが、本書を読むときにオススメのBGMがあります。
スティービー・ワンダーのStay goldという曲です。
なぜ、オススメかと言うと、ただ編集の過程で私の頭の中でグルグルこの曲が回っていたというだけなのですが、歌詞を調べてみると結構しっくりきていました。

Life is but a twinkling of an eye
Yet filled with sorrow and compassion
Though not imagined
All things that happen
Will age too old
Though gold

人生は瞬く間に過ぎていく
だけど哀しみと分かち合う痛みにあふれている
考えられないけれど
この世のものはすべて年老いていく
輝きはそのままに
(スティービー・ワンダー「Stay gold」より)

つまり、たかが猿と思うなかれ。
『LIFE 地獄谷に生きる』は、そういう本だということです。

*なお本書には笑いどころもご用意しております。
*『風景写真』5-6月号本日発売!


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『LIFE 地獄谷に生きる』
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by fukei-kaoru | 2008-04-19 00:07 | 人・写真家

一本の木を植えること

さいはてさんからいただいた提言には、少し考えるところがあり、お答えするのに時間が必要でした。
私も、基本的には木は植えないより、植える方が良いと思います。しかし、最近一本の木を植えることは、実は一本の木を伐ることと同じくらい難しいことではないのか。そんなことを考えさせられる経験があったのです。
それは、明日発売の『風景写真』5-6月号に掲載されている今森光彦さんのアトリエを訪ねたことです。その内容は32〜37ページをぜひじっくりと読んでみてください。
また、これから先はさいはてさんの問いかけをきっかけとして、風景写真全体の問題として書くものであって、決してさいはてさん個人に向けて言っているものではありません。

例えば、こういうことなのです。
田んぼの脇に一本の桜が残されているのはなぜか、と後生の人が問うたとき、その答えが「あの桜が咲くのを見て、昔の人は田植えをはじめたんだよ」なのか、「写真が好きな人たちが、ここに桜を植えたら絵になるからと、植えたんだよ」なのか。それは、些細な問題ではないような気がするのです。

私は、これから後生に風景を残すのに、あるいは再生するのに
風景写真家の視点が重要な役割を果たすべきだと思っています。しかし、それにはフレームの中だけの発想では駄目だと思うのです。
このブログでは、時折「風景写真とは地形や場所を撮るものではなく、心で見つけた風景を主観的に撮るもの」と書いてきました。もし、それが正しいのであれば、「ここにあればきれい」という理由で木を植えることは、写真家に都合の良い“絵になる地形”を作っていることにはならないでしょうか。

一本の木がそこにある意味。実はそのことは周辺の自然、暮らし、風土、環境などとつながっています。それらが合わさり、絡まって、時を経て調和した結果として今見ている風景があるのだと思います。
私たちが一本の木を美しいと思えるのは、過去からその木を大切に思い、暮らしの一部として大事にしてきた周辺の人たちの思いがあるからかもしれません。その思いを受け取り、写真に描くのも風景写真だと思います。

風景写真とは、ある意味で、風景を通じて過去に思いを馳せ、未来を創造するものです。
そのような視点を持って行うということであれば、風景写真家が木を植えることは大賛成です。
風景写真を通じて、多くの皆さんが、そのような視点を持ち、風景の大切さを伝えていくことができれば、写真の世界を超えて、きっと何かが変わっていくはずです。
それは『風景写真』に込めた私の夢でもあります。


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by fukei-kaoru | 2008-04-18 10:23 | 風景写真

マウントのコツ?

せっかく皆さんからネタをご提供いただので、お答えするのが礼儀というもの。
みぞんさんのマウントについてのご質問にお答えします。
ご質問のポイントが、マウント自体なのか、マウントの仕方なのか、その両方なのか、わからなかったので、両方お答えします。

文面から、おそらく紙製のマウントを使っていると思いますが、紙マウントで、私がきれいだと思うのは、ホワイト写真用品のスライドマウントの黒です。
黒いマウントは写真が締まって見え、プロにも愛用者が少なくありません。
黒だと字が見えにくいのですが、フォトコンテストに応募される皆さんは、ワープロやラベルライターで打ち出したものをマウントに貼っています。
応募はせず、記録のためにデータを書き込むのなら、鉛筆で書くと目立たず、すっきり見えて、文字はちゃんと読むことができます。
(*黒地に鉛筆書きはコンテスト応募には適しません)

e0041948_12144240.jpg次にマウントの仕方ですが、水平垂直を合わせるコツは、写真のようにライトボックスの上で作業することです。そうすれば、マウントの窓の位置が確認しやすく、位置を合わせやすいと思います。
指紋については、完全に防ぐには手袋を使うしか方法がないと思います。編集部では裸のフィルムを扱う場合には、基本的には手袋を着用しています。
ただ、細かい作業はやりにくくなりますので私は写真のようなピンセットを使うこともあります。使ってみるとわかると思いますが、直接指で持つよりも、意外に精密な作業はやりやすいのです。ただし、ピンセットの先は結構鋭いので、フィルムにキズをつけないよう、十分注意してください。
(*上の写真はフィルムパックに入れて表面を保護しています)


e0041948_11563313.jpg手順を追って説明します。
まず、ホコリはブロアーまたはエアスプレーなどを使って吹き飛ばします。エアスプレーは圧が高いのできれいにホコリが飛びますが、フィルムを飛ばさないように気をつけてください。


次にフィルムをフィルムパックに入れます。
フィルム保護には、編集部ではホワイト写真用品のフィルムパックという製品を使用しています。同様の製品では他に堀内カラーのカットスリーブがあります。
フィルムパックにはクリアーと乳白の二種類がありますが、乳白は露出の見え方に微妙に影響しているように思うので、編集部では主にクリアーを使っています。
しかし、乳白を使うとマウントした後で表裏を間違えないというメリットがあります。

e0041948_1157713.jpgどちらかの角を合わせて余分なところをハサミでカットしたら平滑な面に置いて指の腹や軟らかい布などで空気を押し出すような感じでフィルムパックのたるみをならします。


e0041948_1158855.jpg後はマウントに乗せるだけです。やり直しもできますから、慌てずに作業すれば、それほど難しくはないと思います。


と、まあ、こんなところですがいかがでしょうか。


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by fukei-kaoru | 2008-04-17 10:53

第三の道

林幸恵さんの写真展「夢色の世界」が富士フイルムフォトサロン名古屋で4月17日(木)まで開催されています。

林幸恵さんは、『風景写真』のフォトコンテストで入賞を重ねてきた“常連”だった人です。
しかし、昨年11月に写真集「夢色の世界」を上梓したことを区切りとしてフォトコンテストを卒業されました。
「フォトコンテストをやめてプロなるの?」
林さんは、写真展会場で度々そう聞かれることに少々困惑しているそうです。
“どうしてフォトコンテストをやめたらプロなんだろう?”
もしかすると、今後、林さんの前にプロへの道が開けることがあるかもしれませんが、それはそのときのこと。林さんは、何にも縛られずに自由に自分の世界を表現できる“写真作家”として歩む道を選んだのです。

いつの頃からか、『風景写真』では「風景写真作家」という言葉を使うようになりました。
写真作家とは、自分のテーマ、世界、あるいは自分だけの表現を追求し、発表している写真家、というような意味で使っています。それはプロ、アマといった分け方とは別のもので、プロでも作家性のない写真家もいれば、アマチュアでも優れた写真作家は多くいます。
誤解していただきたくないのは、作家性のあるなしが写真家としての価値を語るわけではないということです。写真作家とは、さまざまある写真との関わり方の一つに過ぎません。ただ、一つ言えるとすれば、『風景写真』は作家性のある写真家の作品を紹介する雑誌だということです。

これから林さんは、創作活動を続けながら発表の機会を模索し、あるいは“自ら作り”、自分の世界を皆さんに伝えていこうとしています。
皆さんは林さんがとても辛くて険しい道を選んだと思われるかもしれません。しかし、写真作家として作品を発表していくことは、プロであっても容易なことではないのです。
林さんは写真集、写真展を通じて、自分の世界を思う存分表現し、伝える、伝わる喜びを知りました。もしかすると、そこに生きる意味を見つけたのかもしれません。だとすれば、プロ、アマという立場に関係なく写真作家として活動していくことは、自然な成り行きだったに違いありません。

フォトコンテストに入賞する、入賞し続けることは、大変な努力と熱意を要します。写真との関わり方は人それぞれ。コンテストでの栄光を目指すことも尊い写真の道であり、生涯フォトコンテスト一筋というのもありだと思います。
でも、もし、フォトコンテストに行き詰まったり、疲れを感じることがあったなら考えてみて欲しいのです。アマチュアでもない、プロでもない第三の道、写真作家という生き方があることを。
その道を行くことはフォトコンテストでの成績や、写真的キャリア、実績とはなんの関係もありません。ただ一つ、写真に向かう姿勢の問題なのです。

19日に発売される『風景写真』5-6月号の巻頭を飾る今森光彦さんは、板見浩史さんとの対談の中で、こんなことを語っています。
「写真はある程度技術を身につけたら、その後は自分というものを人に知らせる手段だと考えた方がいいと思います。(中略)簡単に撮ったものであっても、自分の見方で撮ったものを集めていけばそれは絶対に面白いものになります」


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林 幸恵写真集「夢色の世界」
[風景写真BOOKS Artist Selection no.003]

縦200ミリ×横225ミリ 96ページ
税込価格:2,500円
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by fukei-kaoru | 2008-04-15 05:51 | 人・写真家

小林義明さん:桜コンテストやってます

e0041948_2257087.jpg北海道から、小林義明さんが打ち合わせのため編集部に来てくださいました。

3-4月号でもお知らせしていますが、creative:people:photo(略称:クリピー)で開催している桜のフォトコンテストで、二人で審査を担当することになっていて、今日はその打ち合わせ。
既に前期日程は締め切っていますが、作品部門(後期日程)と「桜の名所100選」部門は、ただいま開催中で、締切は5月6日です。WEB上から簡単に応募できますので、ぜひ応募してみてください。


ところで、小林義明さんが地元道東で写真教室を開講することになりました。
ご存知のように小林さんは自然・風景を対象とする写真家であり、写真雑誌等でわかりやすく丁寧なメカニズム記事、ハウツー記事で人気を集めていました。しかし、それらの仕事を断ち切ってまで、写真作家活動に専念すべく北海道に移り住んだ、気骨のある青年です。
髭面で気骨がある青年、などと書くと変わり者みたいですが、髭を落とした素顔には天使のような童顔が隠されていると言われ、実際会って話してみると5秒で気さくで親しみのもてるキャラクターであることがわかるでしょう。

冗談は抜きにして、北海道に移り住み、今まさにテーマと格闘している一人の意欲ある写真作家の姿に触れることは、おそらく言葉で教わること以上に感じるものがあるはずです。

お近くの方で興味がある人は、コチラまで。(*トップページからEVENTをクリック)

e0041948_22575737.jpg写真は小林さんの北海道みやげ「ジンギスカンキャラメル」です。
お味はの方は…(>_<)
編集部では、今後ミスをした人に食べさせることになりました。って、罰ゲームかよ!
(*小林さんごめんなさい。でも、キャラメルからホントにジンギスカンの味がするというのは、不思議な体験でした)


話は変わって、皆さん、ネタの提供にご協力いただき、ありがとうございます。
いや〜皆さんホントいい人だ。みんな最高だよ!(泣)
全部お答えできるかわかりませんが、ネタ帳に仕込んでおいて、使わせていただきます。
引き続き“愛のネタ”お待ちしております。



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《4月4日発売》
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小池清通写真集
「Whispers from the Sands 大砂丘の声」
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縦220ミリ×横297ミリ・上製本・112ページ
定価:3,800円+税
お問い合わせ:風景写真出版(03-3815-3605)




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by fukei-kaoru | 2008-04-11 23:21 | 仕事


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