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サーチビームの恐怖

どうでもいいことなのに、妙に頭に残っていることってありませんか?
5年ほど前の話、ある占いのようなものに凝っていた親友が、その何とか術というので、私の性格判断をしてくれたことがありました。

「お客さんがお土産をもって訪れたら、君は『そんな気は使わなくていいのに……』と思うでしょ。いやいや、僕にはわかってるって。だって、そう出てるし」

えらいピンポイントな性格判断やな〜というツッコミはちょっとおいといて、妙に頭に残ってしまったのは、その後に続く言葉でした。

「でもね、世の中にはお客さんが玄関から入ってくると同時に、持ち物をチェックするタイプの人もいるんですよ」

つまり、お土産を持ってきているかチェックを入れるというわけです。友人が言うには、仕事で訪問する相手が、事前にどっちのタイプがわかっていれば、お土産を用意すべきかどうか迷わなくて便利だと言うのですが、そんな日々の暮らしの豆知識的な占いって……。

それはともかく、その話を聞いてからというもの、お土産を持って仕事の関係先などを訪問したときに、人の目が気になって仕方ありません!
しかし、いまだかつてお土産をチェックする視線など感じたことはないのです。
そりゃそうです。いくらなんでも、そんなわかりやすく欲望ビームを発する人が、そうそういるわけがありませんよね。

それがいたんですよ!
先日、ある仕事先にお土産の袋を持って入ったときのことです。
入口付近の女性と挨拶を交わすほんの刹那、レーザービームのように鋭く、かつ探るような気配を手元に感じたのです。
彼女は軽く会釈するような素振りで、目線を私の手元に落とすのをうまくカムフラージュしたつもりだったと思います。
しかし、私は見逃しませんでした。
当然です、私は5年も前から探し求めていたのですから。「お土産をチェックするタイプの人」を!
コンマ数秒という一瞬でしたが、確かに彼女の視線のサーチビームは私の手元のお土産袋をスキャンしたのです。

ついに見つけた!
そう思うと私はうれしくなって、つい口走ってしまいました。
「見たでしょ……」
驚いて私の顔を見た一瞬後、彼女は泣き崩れました。
「すみません!見てしまいました〜」
正しくは笑い崩れたのですが、まぁ些細な違いです。

ちなみに「お土産をチェックするタイプの人」を見つけた現場は、東京都文京区本郷にある風景写真出版という会社です。
これがホントの“東大”もと暗し、ってなわけでございまして。
お粗末。


追記:一応、彼女の名誉のために付け加えると、私の持ち帰ったお土産が、偶然にも彼女がつい最近食べてもの凄く美味しかったお菓子と同じもので、ついブランド名の入った紙袋に反応してしまったのだそうです。


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《4月4日発売》
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小池清通写真集
「Whispers from the Sands 大砂丘の声」
[風景写真BOOKS Artist Selection no.004]

縦220ミリ×横297ミリ・上製本・112ページ
定価:3,800円+税
お問い合わせ:風景写真出版(03-3815-3605)




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by fukei-kaoru | 2008-03-28 23:54 | 仕事

変化の兆し?

昨夜、小池清通さんの写真集「Whispers from the sands 大砂丘の声」(4月4日発売!)の出版をお祝いするパーティーがあり、私も出席させていただきました。今回の出版を心待ちにし、祝福する皆さんによって開かれた、とても温かく、愉快な雰囲気のパーティーで、私も大いに楽しませていただきました。
「Whispers from the sands 大砂丘の声」については、近々このブログでもご紹介したいと思っています。

ところで、そのパーティーの場で以前から交流があるアマチュア写真家のYさんとお会いしました。
Yさんは、『風景写真』の良き理解者であり、このブログの愛読者でもあります。

このブログでは、時々私の風景写真に対する思いや考え方について、かなり本音に近いところをさらしています。
Yさんがおっしゃるには、その本音の意見がアマチュア風景写真家に与える影響は少なくなく、Yさんの周辺では急速に意識の変化が広まっているとのこと。

毎回、四苦八苦してなんとか更新を続けているこのブログですが、もし多少なりとも皆さんの共感を得るところがあり、わずかでも風景写真の状況に良い変化が起きているのなら、とてもうれしく、素晴らしいことだと思います。続けるエネルギーもわいてくるというものです。
残念ながら当の私には、そこまでの雰囲気は伝わってきませんが、もう少し頑張って続けてみようという気になりました。


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《4月4日発売》
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小池清通写真集
「Whispers from the Sands 大砂丘の声」
[風景写真BOOKS Artist Selection no.004]

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定価:3,800円+税
お問い合わせ:風景写真出版(03-3815-3605)




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by fukei-kaoru | 2008-03-26 01:17 | 風景写真

我が家のエコ姑?

「パパ、またエコしてないよ〜」
7歳の娘と5歳の息子から、ことあるごとにこう言われて怒られています。
トイレの電気を消し忘れる。顔を洗うとき水を出しっぱなしにする。風呂でシャワーをこまめに止めない。
一挙手一投足をちっこい“エコ姑”に監視され、息が詰まりそう……じゃなくて、ちびっ子エコポリスが出動し、注意を受けています。
『風景写真』の編集長も、家に帰れば環境破壊の大魔王のように扱われているのです。

先日、子供たちを連れて、あるアニメ映画を見にでかけました。
映画のテーマもやはり“環境”。今や、子供向けアニメにおける悪の存在は“地球征服を目論む悪の秘密結社”ではなく、“環境破壊”であるようです。

北海道標茶町在住の写真作家・小林義明さんによれば、この冬の釧路湿原は雪らしい雪がまったくなく、冬のイメージがほとんど撮れなかったそうです。
おそらく、皆さんも風景写真を通じて環境の変化、地球温暖化の影響を間近に感じることもあると思います。以前は例年、普通に見ることができた風景が近年は見られなくなった。あるいは逆に以前には撮ることができなかった風景が撮れるようになったということもあるかも知れません。一見、美しく見える風景の中にさえ、実は気候変動の影響が現れていることもあると思います。

今の美しい風景と共に、変わりゆく風景も記録していくことは、私たちにできるとても大切な役割であると思います。
もちろん、写真を撮るために環境を傷めるなど言語道断です。
私たちの子や孫の世代には、環境を破壊する者は“地球征服をたくらむ悪の秘密結社”並に極悪非道の存在。お子さんやお孫さんに恥じることのない風景写真の楽しみ方を心がけたいものですね。
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by fukei-kaoru | 2008-03-23 16:20 | 風景写真

ビギナーズ・ラック

「写真では、始めて間もない初心者でもたまたま良い写真が撮れてしまうということが起こり得る。こういうことは他の芸術ではあり得ないと思いませんか」
先日、ある風景写真作家と呑んでいたら、こんな話になりました。

確かに、そういう面はなきにしもあらずです。
風景写真に限って言えば、“風景が撮らせてくれる”ような場面に出合うということが比較的頻繁に起こり得ます。
例えば、誰が見ても美しい風景、劇的なシーンは、今のカメラの性能ならシャッターを切れば、誰でもそこそこには美しい写真を撮ることが可能でしょう。
ちょっとバランス感覚がいい人なら、どこかのコンテストに上位入賞するような作品が撮れてしまったりすることがあっても不思議ではありません。

そのような写真に価値がないなどとは思いません。被写体の魅力や、シャッターチャンスも写真の重要な要素だからです。
しかし、“風景が撮らせてくれる”とは、作者の視点が定まっていなければ“風景に撮らされている”ことだとも言えます。
今後、より高度な意味での風景写真は、作者の主観的な視点で風景を“撮っている”のか、あるいは“風景に撮らされている”のかまでも問われるようになるでしょう。
“その瞬間、その場所で、その人の視点がなければ出合えなかった場面”であること。あるいは地味な風景であっても、隅々まで高度な構成力、バランス感覚でまとめられた作品であることなどが、求められるのです。

AE、AFといったカメラの自動化に加えて、デジタル化の恩恵によって、写真はもはやほぼ完全に“押せば写る”時代に入っています。となると、ますますビギナーズ・ラックで良い写真が撮れる可能性が増えそうなものです。
しかし、風景に関して言えば、“押せば写る”ことによって、実は写真がどんどん難しくなるという可能性に皆さんは気が付いていますか?
なぜなら、カメラ操作が簡単になればなるほど、より純粋に作者の感覚や思想、そして緻密で臨機応変な画面構成力が問われるようになっていくのですから。

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by fukei-kaoru | 2008-03-20 21:42 | 風景写真

復〜活!!!

風邪をひいてすぐに出張が続き、治ったか、治っていないのかわからないまま花粉症の季節に突入してしまったよう。
目は痒い、鼻は詰まる、咳は止まらず喉が痛い。そんなもんだから、身体はだるく、頭がぼーっとする……と、体調がシャキッとしない日々が続いていたのですが、今朝起きたら久しぶりに喉が楽な感じ! だるさも取れて、風邪+花粉症は、ようやくただの花粉症になったようです。バンザ〜イ!(なのか?)

ところが、ちょっと軽くなった足取りで編集部につくと、編集のTさんが風邪をひいてダウンとの報。
さらに、印刷会社の営業・Nさんが、やはり風邪でガラガラの声で電話をしてきました。
そう言えば、先日、取材に同行してくれたカメラマンのHさんも、咳きこんでいたっけ……。
もしかして移しまくってる? ヤバ……。

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by fukei-kaoru | 2008-03-17 19:51 | 仕事

風景を考える

先日、取材で東北地方のある沼を訪れました。
比較的大きな沼の周辺は葦原に囲まれ、水面には水鳥が遊ぶ、まさに日本の湖沼の原風景。このような風景は、今では貴重なものになりつつあり、目も心も癒される感じがします。
ところが、その風景の中から、とっても違和感を感じる、あるものが視界に入ってくるのです。
オランダ風車。
葦原広がる沼の畔になぜかオランダ風車が回っているのです。

いわゆる“お役所”のやることを、何でもかんでも批判するつもりはないのですが、こういうことって結構よく見聞きします。
例えば、豊かな自然や、里の風景が広がる地域に、奇抜な現代彫刻を並べてみたり、ビジターセンターとか、自然なんとかセンターと称して、これまた周辺の風景にマッチしないデザインの建物を作ってみたり……。
しかも、そういう施設って、大抵いつもがらがらだったりして。

何かを造る、建てるということを一切否定するものではありませんが、もう少し“風景”というものを大切にしてほしい気がします。
まだレアケースではあるのですが、地域の開発や自然、環境の保全に、自然・風景写真作家の意見を取り入れている例があります。
優れた風景写真作家は、単に景観としての美しさだけではなく、歴史や風土、自然環境などから、その風景の持つ意味を探ろうとしています。彼らの視点や見識は、これからの日本の風景を遺し、あるいは創ることに、もっともっと取り入れられて然るべきと思っているのですが……。
ん? このブログで語るには、ちょっと話が大きすぎるかな?
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by fukei-kaoru | 2008-03-16 20:05 | 仕事

美しい風景写真100人展 in 仙台

今日は「美しい風景写真人100展」仙台展のオープニングに立ち合うため、仙台に来ています。
仙台の富士フイルムフォトサロンに来たのは初めてですが、比較的広めで、ゆったりとした印象の会場です。
天井の高さが東京の六本木会場とほぼ同じということで、そのことも作品を鑑賞するには好条件と言えるでしょう。
仙台展は3月26日(水)まで開催しています。

これから、仙台を後にして東京に帰ります。
これで、5/6月号編集期間中に予定されていた出張のスケジュールはすべて消化。帰ったらどっさり仕事が待っています。
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by fukei-kaoru | 2008-03-14 14:45 | 仕事

東北2往復

今週は東北方面に3泊4日で出張の予定が、思わぬハプニングが重なり、1泊2日×2で東北2往復という慌ただしい日程に。
しかも、どちらも東北から直帰とは行かず、編集部に戻らなくてはなりません。
写真家の友人にその予定を話せば、「なに?その変な予定」と言われ、編集部では「編集長、なんか無駄な動きしてますね~」とばっさり斬られ……。
報われない忙しさを過ごしております。

そんなわけで、このブログの更新も遅れがちになっております。
出張に出ると、ケータイしか更新の手段がなくて、結構面倒なんですよね~。

ところで出張の間に編集部に戻ったのは、次号の特集の打ち合わせのためでした。
予告の通り、次号の特集は“前景”がテーマ。胸張って言いますが、こんなことできるのは『風景写真』だけ、というくらい、風景写真の画面構成に関する、かなり突っ込んだ内容になっています。

この特集のベースにある考え方は、懇意にしている風景写真作家たちの知恵を借りて、ゼロから練り上げたものです。
断言しますが、そこで語られる予定の内容は、他のどこにも載っていないはずです。
私たちは、どこの真似でもないオリジナルな企画で勝負したいと思っています。真似をされるくらいなら、むしろ光栄というものです。
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by fukei-kaoru | 2008-03-12 21:48 | 仕事

風景に呼ばれる人

風景写真作家の中には、「どうして、この人は、こんなに凄い場面に次々と出合うのだろう」と思える人がいます。
私はそのような写真作家を「風景に呼ばれる人」と呼んでいます。そして、「風景に呼ばれる」あるいは「風景を呼び込む」ことは、風景写真作家にとって、大事な資質ではないかと思っているのです。

何人かの風景写真作家に「風景に呼ばれる」ということについて話をすると、「そういう感覚は確かにある」と答えてくれました。
なんとなく、気になってルートを外れて林道に入ってみると、素晴らしい風景に出合ったとか、朝、出がけに急に気が変わって、目的地を変えたら、途中で凄い写真が撮れた、というときなどに、「呼ばれた」という感じがするそうです。

なんだか、大槻教授に怒られそうな、超自然的な話をしているようですが、案外そうでもありません。実は「風景に呼ばれる」というのは、長年の経験からくる、気候や被写体条件を読む感覚、そして“風景との出合に対する心の備え”などが、勘として働いているのだと思います。

先日、ある風景写真作家に某有名ポイントで写した作品を見せてもらったのですが、それはそのポイントで撮られた作品としては、はじめて見る凄い風景でした。
しかし、その作品を撮ったときには、普段は数百人が三脚を並べることも珍しくないその場所で、撮っていたのはその写真作家一人だったそうです。

その日は、光が射すことが期待しにくい厚い曇天で、夜明け前にはわずかにいたアマチュア写真家も、空が焼けないとわかると帰ってしまったと言います。しかし、その後に暗い雲間から朝霧に光芒が差し込むドラマチックな光景が展開されていたのです。

その写真作家は、そこに頻繁に通っているわけではなく、たまたまちょっと気が向いて行ってみただけだと言います。
運が良かっただけ、と思うかもしれませんが、その写真作家も、その日の天候が曇天であることは知っていました。だからこそ、有名なポイントでも、よく見る作品とは違うものが撮れるのではないか、と考えてそこに向かったのです。
雲が厚いと知って、出かけなかった数百人のアマチュア写真家と、そこに大きな発想の違いがあると言えます。

そして、もう一つ、その写真作家は、そこで何が起きるか、なんの予想も期待も持っていませんでした。そこに集まる多くのアマチュア写真家の大部分は、“空が焼ける”ことを期待し、それが叶わないとわかると帰ってしまいました。
例え彼が捉えた風景を目撃しても、カメラを構え、シャッターを押していたかは疑問です。

少なくとも、『風景写真』の編集を通じてお付き合いのある写真作家で、一つのポイントに同じ時間帯に毎日のように通ったり、長時間、求める条件になるまで待つ、という取材姿勢の方を知りません。
単純に考えると、一つところで、ずっと、じっと待っている方が、いつか訪れるであろう、凄い瞬間に出合える確率は高いように思えます。
しかし、実は“欲しい風景”のイメージを絞りすぎていると、期待した風景しか目に入ってこない、という状態になることがあるのです。
一つの可能性を求めすぎるあまり、その他に起こり得ることをすべて意識から排除していると言えないでしょうか。

つまり、「風景に呼ばれる」とは、経験からくる勘と、“出合に対する心の備えによってもたらされるものだと思います。もちろん、それだけ頻繁に撮影にでかけ、朝から夕まで働くことを惜しまない努力がベースにはあるのですが、ただ、それだけでは説明がつかないほど、出合の幸運に恵まれている作家がいることも事実です。もしかすると、超自然的な「風景に呼ばれる」力が存在するのかもしれませんね。
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by fukei-kaoru | 2008-03-08 14:14 | 人・写真家

変わったもの、変わらないもの

写真のデジタル化によって、写真表現の持つ意味が変わったかのように言われることがあります。
私はそうは思いません。
変わったのは、シャッターを押してから作品化するまでの課程であって、「撮る」という行為の持つ楽しさや、写真表現によって何を伝えていきたいか、ということは、実は何も変わっていないのだと思うのです。
特に、風景写真においては、持っているカメラが、デジタルか、フィルムかによって、目の前の風景から感じることが違う、なんてことはないと思います。
もちろん、多少アプローチの仕方に違いはあるかもしれませんが、本質的な意味で、風景から感じるもの、風景を前にして描きたいものに違いはないはずです。

雑誌としては“変わった、変わった”と煽っている方が、在り方として正しいのかもしれません。
でも、風景写真について考えれば考えるほど、大事な部分は何も変わっていないし、これからも変わらないだろうと思うのです。
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by fukei-kaoru | 2008-03-05 22:48 | 仕事


『風景写真』11-12月号発売中です


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