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プロのこだわり

数日前、ある写真関係者の方と親しくお酒を呑む機会を得ました。場所は本郷のとあるお鮨屋さん。初めて入ったお店だったのですが、これが思いがけぬ大ヒットでした。

まず驚いたのが次々と出される趣向を凝らした珍味の数々。海ブドウや、鮎の卵といったあまり食べたことのない食材に、さりげない仕事が加えられた酒肴の数々が舌を楽しませてくれます。もちろん、お酒が進まないわけがなく、会話も弾みます。

このお店でおもしろかったのは、店主が食べ方、呑み方を客任せにしていないということ。
例えば、ビールのあとに日本酒をと言うと「ビールのように味の濃いお酒のあとに呑むなら……」とおすすめの銘柄を出してくれます。
ではそれで、と頼んで呑んでみると、ビールの後味をすーっと洗い流してくれた後に、口の中ですっきりとしたお酒の味と香りが広がり、ストンとのどに落ちていく。
「その次には、このお酒が……」というように、食事やお酒をすすめてくれて、それがぴたりとはまるのです。

かと言って自分の知識や主張を押し付けるというわけではありません。
長い経験を積んだ老鮨職人といった雰囲気の店主の口調は穏やかですが、料理やお酒の説明に説得力があり、つい「お任せします」と言ってしまいたくなるのです。

おそらく、店主のすすめと違うものを頼んだとしても、決して嫌な顔をすることなく、注文の品を出してくれたと思います。なぜなら、その店主は、自分の技や知識、あるいはこだわりを通すことではなく、客をもてなし、満足させることこそ仕事と心得た本当のプロだと思うからです。

プロならば、求められた仕事を、期待された水準で、きっちりと提供できることは当然のこと。それすらできていないのに、こだわりばかりを語られても客は引いてしまいます。

そう言えば“こだわり”って、最近は良い意味で使われることが多いのですが、本来は“固執する”“拘泥する”といった悪いニュアンスを含んだ言葉だそうですね。私も編集者として、悪い意味でのこだわりを捨てて、読者に喜ばれる誌面を作っていきたいものです。
風景写真9-10月号は8月20日(月)発売です。
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by fukei-kaoru | 2007-08-20 00:03 | グルメ


『風景写真』11-12月号発売中です


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