カテゴリ:風景写真( 37 )

ライブビュー機能を使って思ったこと(ちょこっと修正)

e0041948_9282286.jpg【好評発売中!】
[隔月刊]風景写真2009年7-8月号

2009年6月20日(土)発売
定価:1,980円(税込)
雑誌コード:07893-07


[特集1]米 美知子+EOS 5D MarkII
     「光と水が織りなす情景」
[特集2]やっぱりペンタックス645/67でないとだめなんだ!
     作品と証言で解く名機の理由
     丹地敏明/辰野 清/今森光彦/野呂希一
     竹内敏信/鈴木一雄

[技法特集]風景写真のキレと奥行き感を極める!
[新連載]傑作風景の撮影地・詳細マップ付ガイド

[特別付録]米 美知子オリジナルプリント

【ご注文・お問い合わせ】
(株)風景写真出版
TEL 03-3815-3605
FAX 03-5689-8187
dokusha@fukei-shashin.co.jp
www.fukei-shashin.co.jp

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前回のShiro's Boot Campには、実は個人的にある“ミッション”を持って参加していました。
それというのは、最新のライブビュー機能を体験すること。
デジタル一眼レフカメラはよく使っているのですが、実は本格的にライブビュー機能を使って撮ったことがなかったのです。
そこで、Canon EOS 5D MarkⅡを用意し、ライブビュー依存度が高いという萩原史郎隊長のキャンプに志願したというわけです。

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史郎隊長撮影による“ブートキャンプ”中のひとコマ。
上から目線でビシバシしごかれている雰囲気が伝わってきませんか?



実際にライブビューを使ってみた印象は、思っていた以上に「簡単」で「便利」でした。
しかし、ただの快適装備ではありません。
クルマに例えると、よく回るエンジンを積み、足回りを固めたスポーツカーが、ドライバーをその気にさせるように、ライブビューという機能も良い意味で撮影者を煽ってくるのです。

この感覚は、特に風景撮影の場合に顕著かもしれません。
例えば、見えの良い視野率100パーセントの液晶モニターに映し出される風景を見たら、いやが上にも「もっとフレーミングを追い込みたい」という意識が盛り上がってきます。
しかも、リアルタイムで表示されていますから、光や風に対する意識も強まります。
さらに、画面を拡大して見ると、「自分のこれまでのピント合わせは正しかったのか?」とさえ思うほど、精密にピントを合わせることができます。
つまり、シャッターを切るまでに、目視で追い込める画(え)のレベルがハンパなく高いから「できることはやっておこう」という気にさせられるのです。
もともと“撮影時に画像を確認できる”ことはデジタルカメラの大きなメリットでしたが、それがシャッターを切る前と後とでは大違い。
ライブビューを使って撮ると、一枚の画を追い込んでレリーズするまでの気合いの乗り方がすごく良いのです。

大きな画面を見ながらフレーミングを決め、任意のポイントを拡大してピントをしっかりチェックしながら撮る……その一連の動作と心構えは、風景写真の原点とも言える大判カメラの作法にも似ています。
風景を撮る人ならおそらくわかっていただけると思うのですが、風景を前にして、画作りを追い込んでいくときの集中した感じは、決して悪い気分ではなく、むしろ、風景写真を撮る快感と言えるでしょう。
ライブビューの助けによって、あっという間に高度な集中モードに入れるのは、予想していなかった面白さでした。

ライブビューを使っていて、不満ではないのですが、ひとつ頻繁に思ったことがあります。
それは、カメラの操作を部分的にタッチパネル液晶に集約させたら、どんなに楽だろうということ。
指で画面を触れるだけでピント位置を決めたり、被写界深度が設定できるとか、iPod touchみたいに指先で任意の場所を拡大できたら便利だろうなぁ。その分、ボタン類を減らせれば、液晶モニターのサイズもさらに大きくできるかもしれないし。
コンパクトカメラでは、タッチパネル液晶を搭載した機種も出始めているので、一眼レフに搭載される日も近いかもしれませんね。
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by fukei-kaoru | 2009-06-22 17:58 | 風景写真

Shiro's Boot Camp

e0041948_9282286.jpg【もうすぐ発売!】
[隔月刊]風景写真2009年7-8月号

2009年6月20日(土)発売
定価:1,980円(税込)
雑誌コード:07893-07


[特集1]米 美知子+EOS 5D MarkII
     「光と水が織りなす情景」
[特集2]やっぱりペンタックス645/67でないとだめなんだ!
     作品と証言で解く名機の理由
     丹地敏明/辰野 清/今森光彦/野呂希一
     竹内敏信/鈴木一雄

[技法特集]風景写真のキレと奥行き感を極める!
[新連載]傑作風景の撮影地・詳細マップ付ガイド

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e0041948_17563431.jpg

昨日は、ある企画の下調べのために、写真家の萩原史郎さんに同行していただいて奥多摩の某所に出かけていました。
途中で車がパンクするというハプニングはありましたが、どうにか辿り着いたそこは、ほとんど訪れる人もいない山奥の渓流です。
私も10数年前に一度来たことがあるのですが、その時の記憶ではそれほど歩きがきつかったという印象はなく、そこを選んだ萩原さんの提案に軽くオッケーしてしまったのです。
それが、編集長などと呼ばれて、心身ともに弛みきった私を鍛え直すために萩原さんが仕組んだ罠だとは思いもせずに……。

そのことに気が付くのには、スタートして10分もかかりませんでした。
10数年の時の経過により、衰えた体力と、増加した体重。
すぐに息は上がり、足が重くなります。
余裕綽々で先行する萩原さんとの距離は離れるばかり。
早くも汗だくでズタボロになっている私に、萩原さんの声が響きました。
「シローズ・ブート・キャンプへようこそ! 楽しんでるかい?」(*幻聴です)

細く、傾斜のきつい渓沿いの山道は、朝方まで降っていた雨によって滑りやすくなっています。
渓の深さは、うっかり足を滑らせたら、しゃれにならない高さです。
しかも、新調した長靴が足に馴染まず、足元の不安による緊張感が余計に体力を削り取っていきます。
そんな私に萩原さんは容赦なく、言葉の鞭を浴びせ続けるのです。
「ヘイ!お遊びのつもりなのか?」(*これも幻聴です)
「力を出し切れ! お前の100%はそんなものか?」(*以下、同じ)
「あきらめるな!限界なんて言葉はない!」

どうにか目的の滝(写真)に辿り着いたときには、膝は笑い、息は絶え絶え。
三脚を立てるのも億劫なほど疲労困憊していました。
しかし、今回は私も撮影する必要があり、休んでいる暇なんてありません。
呼吸を整えつつ1時間も撮影したでしょうか。
ふと気が付くと、すでにザックを背負った萩原さんが、滝側の山道から私を見下ろしています。
そして一言。
「ワンモアッ!」(*これは、確かに聞こえた気がする)

そこから、さらに険しく長い山道を這いずるように進み、最深部の素晴らしい滝の撮影を終えて、アプローチポイントに帰ってきたときには、スタートしてから約8時間が経過していました。
その過酷な行程により、私の足はむくみ上がり、スタート時には「ちょっと大きいか」と思っていた長靴が、萩原さんに力一杯引っぱってもらわないと脱げなかったほどです。
裸足でへたり込む私の耳に、史郎隊長の「ビクトリ〜〜〜ッ!」という雄叫びが確かに聞こえたような気がしたのですが、あれも幻聴だったのか……。

というわけで、今日は身体中の筋肉が悲鳴を上げております。
イタタタタ……。
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by fukei-kaoru | 2009-06-19 18:04 | 風景写真

前田真三賞の条件

e0041948_9282286.jpg【もうすぐ発売!】
[隔月刊]風景写真2009年7-8月号

2009年6月20日(土)発売
定価:1,980円(税込)
雑誌コード:07893-07


[特集1]米 美知子+EOS 5D MarkII
     「光と水が織りなす情景」
[特集2]やっぱりペンタックス645/67でないとだめなんだ!
     作品と証言で解く名機の理由
     丹地敏明/辰野 清/今森光彦/野呂希一
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[技法特集]風景写真のキレと奥行き感を極める!
[新連載]傑作風景の撮影地・詳細マップ付ガイド

[特別付録]米 美知子オリジナルプリント

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第16回 前田真三賞(2009〜2010シーズン)のエントリーが間もなく6月末で締め切られます。
前田真三賞は、主催者側の私が言うのも手前味噌になりますが、風景写真の世界では最も権威ある賞と言われているものです。
実際に、第1回の受賞者の上杉満生さん(現日本風景写真協会会長)や第2回の川隅 功さんを初めとして、最近では辰野 清さんや米 美知子さんなど、多くの有能な人材を写真界に送り込んできました。
今ではこの賞が、写真界に新しい風景写真の才能を供給する機能を担っていると自負しています。

では、前田真三賞の何をして権威が高いと目されているのかと言うと、それはなんと言っても、30枚一組の“組写真”(クオリファイは10枚一組)という条件の厳しさによるところが大きいと言えるでしょう。
風景写真でいう組写真は、ドキュメンタリーなどのそれとは少し意味が異なるかもしれませんが、要するに一つのテーマに貫かれた30枚一組の写真という意味です。
この30枚というハードルは、おそらく皆さんが考えている以上に高い。
「何百枚もストックがあるから30枚ならなんとかなりそう」なんてあまく考えていたら大間違いです。
問題は、“一つのテーマに貫かれた”というところであり、さらに、その30枚に重複がなく、豊かさとバラエティーを持ちながらハーモニーを奏でている、という一見矛盾する条件を満たしていなくてはなりません。

このように言うと、「じゃあ、どうやって組んだらいいの?」という話になりがちなのですが、“組み方”の方法論から考えるのは誤りです。
大事なのは「あなたは写真で何を伝えたいのか?」ということであって、それによって組み方は変わりますし、逆に言えば、伝えたいことが見えていれば、自ずと組み方も(撮り方も)決まってくるはずなのです。

当たり前のことを言っていると思われるかもしれませんが、アマチュア風景写真家(*)の皆さんの中には、ひたすら「上手い写真」を追求していて、「何を伝える」というところが、曖昧だったり、置き去りにしたままの人が少なくないように思います。
もちろん、趣味として、楽しみのために風景写真を撮っているのなら、それでもまったく問題はないのですが、前田真三賞ではまさにそこが問われます。それはもう、えぐられるように問われるのです。

ちょっと乱暴な言い方になりますが、「上手い写真」の撮り方は人から教わったり、本を読んで知識を吸収することもできます。しかし、「何を伝えるのか」ということは、誰からも教わることはできません。
見る人に何かが伝わる写真を「優れた写真」とするなら、それを撮るには、ある程度「写真が上手い」ことが求められます。
しかし、「上手い写真」の延長線上に「優れた写真」があるかと言えば、必ずしもそういうわけではない。
“一つのテーマに貫かれた30枚一組”という課題は、写真作家の根本とも言える部分をあからさまにするものなのです。

*前田真三賞はプロ写真家もご応募いただけます。
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by fukei-kaoru | 2009-06-16 11:46 | 風景写真

名無しでは動けませんよ!

今日、差出人の名前が書かれていない一通の手紙が編集部に届きました。
ある人物を名指しして、撮影マナーのひどさ、モラルの欠如を訴えるもので、このブログの前回の記事にも少し関連した内容なので、もしかしたら、このブログを読んでいる人かもしれません。
書かれている行為は、事実だとしたら許し難いものです。
ただし、事実だとしたら、です。
別に手紙の内容を疑っているわけではありません。
それ以前に、名無しの手紙では何も確認することができないのです。
名乗らない人物から、他者を名指しで批判する手紙が来たからと言って、私たちに何ができるでしょうか。

信念があって他者を批判するのなら、自分も名前を明かすべきだと思います。
私たちは、批判の主の不利になるようなことはしません。
しかし、それ以前に、批判の相手が自分の周辺にいる人なら、まずは自分たちで、そのような行いを改めるように、説得すべきではないでしょうか。
その人の行いは「みんな知っている」そうですが、その「みんな」は、ひどい行いを黙認しているのでしょうか?
仮にそうなら、それってどうなんでしょう?
少なくとも周辺の心ある人たちが、具体的な行動を起こし、ちゃんと声を出している兆候もないのに、確認が取れない情報で私たちが個人を責めるようなことはできません。

ただ、私も悩ましく、悔しいのは、マナーやモラルに反する行いは写真には写らないということです。
邪魔だと思う木を伐る。自分が撮った後、人が撮れないように被写体を壊す。足を踏み入れてはいけない場所を踏み荒らす……。
それらはすべてフレーム外の出来事です。
どうすれば、そのようなさもしい行いが止むのか、みんなで考えなければならない問題であるとは思います。
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by fukei-kaoru | 2009-06-01 22:20 | 風景写真

演出と風景邪心家

『風景写真』のフォトコンテストには「演出禁止」という規定があります。
「人物写真ならともかかく、風景写真で“演出”ってどういうこと?」と疑問に思っている人もいるかもしれませんが、簡単に言えば、「撮影するのに都合がいいように風景を作ってしまうこと」です。

例えば、よく聞く話ですが、トンボなどの昆虫を接着材で草花にくっつけるとか、花を撮りやすい場所に植えて撮るというのがそれにあたります。
その場に落ちている落葉や落花の向きを少し直したり、動かすくらいのことをうるさく言うつもりはありませんが、別の場所から持ってきて、本来それがない場所に置いたり、周辺から多量に集めてばらまいて撮るのは、立派な演出と言えるでしょう。

もともと演出は写真表現の手法の一つであり、演出=悪というわけではありません。単に『風景写真』フォトコンテストのルールとしては認められていないというだけのことです。
では、なぜ『風景写真』フォトコンテストでは演出を認めていないかというと、まず第一に本誌では「ありのままの風景との出合を見つめること」の大切さを伝えたいということがあります。
これについては「ありのままの出合の“イメージ”を写真に表現するには、ときには演出も必要ではないか」というご意見もあるかもしれせん。
しかし、フォトコンテストはアマチュアの皆さんが表現を高め合う場であるわけですから、その場においては風景に向かうベーシックな姿勢、精神というものを大切にしたいと思っているのです。

ただ、それよりも問題なのは、風景写真の場合、演出行為が自然や環境を傷めたり、写真家のモラルを疑われるるような行為につながりやすいということです。
前述のトンボの例などは言うまでもありませんが、人の土地の花を抜いて、構図を決めるのに具合のいい場所に穴を掘って植えたという不届きな“邪心家”(こんなヤツを“写真家”とは呼びたくない!)の話を聞いたことがあります。
また、ある写真家が枝振りの良い紅葉を見つけて、狙ってみると何か違和感を感じるので近寄ってよく見てみると、幹に枝を釘で打ち付けてあった、という話も聞きました。
おそらく、こんな話は皆さんもよく見聞きされていることでしょう。
大変、残念なことではありますが、本誌のフォトコンテストで演出を認めてしまうと、結果的にこうした行為を助長することになりかねないと思うのです。

ちょっと前に、「よくこんな場面が撮れたな〜」と感心する写真があったのですが、しばらくすると、同じような状況を捉えた作品をちょくちょく見かけるようになりました。
しかし、よくよく考えてみると、そのような場面が頻繁に現れるはずがないのです。どうやらそれは手の込んだ演出というか、トリックらしいということに後で気が付きました。

ありのままの風景の姿を直視せずに、自分の都合の良いように作りかえるようなことをしていては、風景の本当の声を聞くことができなくなるという気がするのですけどねぇ……。

何はともあれ、イチロー選手は今日もヒットを打って、22試合連続安打です。
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by fukei-kaoru | 2009-05-30 16:53 | 風景写真

癒されない風景写真

「風景写真を見ていると息が詰まるような気がした」

先日、あるデザイナーの方からこんなことを言われました。
「撮っている人の思い入れや緊迫感が伝わりすぎて全然癒されない。だから自分の作品に風景写真を使おうとは思わなかったんです」
この人の見方は、一面的なものかもしれませんが、私にとっては驚くべきものではありません。
なぜなら、これまでにも同じようなご意見を聞くことは少なくなかったからです。

すべての風景写真が、このデザイナーの方が言うようなものというわけではありません。
しかし、一方である部分の風景写真が、瞬時に気持ちを捉える画面の強さを追求する方向に向かっていることも事実だと思います。
それがいけないことだとは思いませんが、それがすべてというわけでもありません。

風景写真の映像を印象強いものに作る方法論は、概ね確立していると思います。また、風景写真のフレーミングの考え方を教える場合、ある程度のレベルまでは、(指導者が意識しているか、いないかは別として)その方法論に則って教えざるを得ません。
しかし、写真を印象強く見せる方法論を極めていけばいくほど、見る側には作者の狙いや仕掛け、画面の組み立てが見えてしまうのです。
綿密に構成されたすきのなさは、ときに気負いやあざとさと感じられ、前述のデザイナーのように写真の専門家ではない人には息苦しさや過度な思い入れと受け取られることがあるのだと思います。

風景写真には方法論や技術論では語り尽くせない“その先”があります。
非常に難しいことですが、見る側に狙いを狙いとして感じさせない、画面の組み立てを意識させないというのも、風景写真としては高度な表現のステージだと思います。
そういう写真には癒しが感じられたり、長く見るほどに伝わる味わいが宿るものです。
ところが、残念なことに、そのような写真は“写真がわかっている”はずの人から、「よくわからない」とか「つまらない」、時には「ヘタ」と評されてしまうことが多いのです。
正直、悩ましい。
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by fukei-kaoru | 2009-05-21 10:57 | 風景写真

アレ・キュイジーヌ!

昨日、一昨日と、久しぶりに写真家と取材に出かけてきました。
場所は新潟方面、撮影をお願いしたのは萩原史郎さんです。
メイン日程の昨日は、風が強く、時折雨も降り、今回の取材のテーマには向かない状況でした。
それでも、どうにか無事想定した素材を撮り終えることができたのは、やはり、プロの経験と感覚によるものにほかなりません。

一流の風景写真家というのは、一流のシェフ、板前さんに似ていると思います。
市場や農家に出かけ、旬の素材やその状態を見極め、その持ち味をできるだけ引き出すように仕事を加え、食器の上に一つの風景を描きだす。
風景写真家もそれと同じで、風景の中から旬の素材、感性に引っかかる題材を見つけ出し、その持ち味をできるだけ活かすように、フレーミングというお皿に風景を再構築して、見る人に提供しているのだと思うのです。

料理人もさまざまで、メニューに載っている決まった料理を、レシピに忠実に、なおかつ、常に同じ味で提供するのも、大事な仕事であり、おそらくはそれができるようになるまでには長い修行と、持ち前のセンスが必要なのだと思います。
実は風景写真の撮り方にも、それに近いアプローチがあり、狙ったポイントで、あらかじめイメージした映像に近い状況になるまで、何度も通って、待って撮るような作品の作り方をすることもあります。
もちろん、そうして撮られた作品にも、素晴らしいものが数多くありますし、そのような撮り方を極めていくには、大変な努力と技量が必要であることは言うまでもありません。

しかし、気の利いたレストランには、必ず旬の素材を活かした、その日だけの特別メニューがあるように、ことプロ写真家について言えば、その時々の旬、現在目の前にある素材を活かして最高の一品を作る能力、感性が必須です。
少なくとも、その力がない人には、今回のような取材企画をお願いすることはできないのです。

出合ったその時の条件、被写体の魅力を引き出して撮る風景写真は、決して派手で迫力のあるものばかりではありません。しかし、だからこそ、優しく、奥深く、見る人の心を癒す表現につながるとも言えます。
一つの撮り方、スタイルだけにこだわる必要はありませんが、時には市場で新鮮な素材を目利きし、即興でレシピを考えるシェフの気分で目の前の風景をフレームに盛りつてみると、作品の幅と、撮影の楽しみがぐんと広がるのではないでしょうか。

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2008 美しい風景写真100人展《福岡展》
【会期】
5月8日(金)〜5月21日(木)
9:00~17:30(土曜日15:00、最終日は14:00まで)

【会場】
富士フイルムフォトサロン福岡
TEL 092-510-4803
アクセス:
福岡市博多区住吉3-1-1 富士フイルムビル1F
JR「博多駅」より歩約


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by fukei-kaoru | 2009-05-15 11:55 | 風景写真

風景写真のフェラーリ!?

次号、7-8月号用の取材で、ペンタックスを訪ねました。
取材目的はPENTAX 645 Digital についてお話しをうかがうこと。
詳しい内容は次号をお待ちいただくとして、お話しの中でちょっと気を引かれる言葉がありました。

「この部分はフェラーリのテールランプのイメージなんですよ」

この部分と言うのは、ファインダーの左右に並ぶダイヤルのこと。
右はフォーカスエリア、左はフォーカスモードを設定するためのものですが、言われてみれば、フェラーリF450やエンツォフェラーリのテールランプのように見えなくもありません。
*写真は試作機で、デザインは変更される場合があります。
すぐに「冗談ですよ」と打ち消されてしまったので、真意のほどは定かではありませんが、この一言が私には単に外見のイメージではなく、カメラの性格を語っているように聞こえたのです。

最近のフェラーリは、ハイテクを駆使して誰にでも扱いやすく仕上げられているようですが、その本質はスーパースポーツカーあり、真の意味で乗りこなすには乗り手の技量を必要とします。
まあ、乗ったことがないので、あくまでも想像なんですけどね。

PENTAX 645 Digital (試作機)に搭載されているフルサイズを超える44×33ミリ・3160万画素というイメージセンサーは、プロユースの数百万円もするデジタルバックと同等の性能を持っています。
車に例えると、数千万円もするスーパースポーツカー、あるいはF1マシンのエンジンを搭載しているようなもの、と言っても過言ではありません。
従って、高いスキルを持つ撮り手が、その能力を存分に引き出したときには、おそらく圧倒的な高品位、高精細な画像を得られるはずです。(現時点では、想像、あるいは期待ですが)
反面、超高精細な描画を可能とするイメージセンサーは、その分、わずかなブレやピントのズレもはっきりと写し出してしまうことでしょう。

とは言え、それは本誌の見開きに掲載したり、全紙、全倍といった大伸ばしにプリントしたときの話。
PENTAX 645 Digital の操作系は、基本的にはK20Dなどと同様で、操作自体は、普通のデジタル一眼レフカメラと比べて特に難しいものではありません。もちろん、フルオートで撮影することだって可能です。
その意味でも、PENTAX 645 Digital は、間口は広く、扱う者の力量によって底知れぬ実力を発揮する、モダンなフェラーリのようなカメラとなる可能性を持っていると思うのです。

特筆すべきは、PENTAX 645 Digital が風景写真撮影に使われることを強く意識して開発されているということです。
“フィールドカメラ”を謳い、風景写真のプロ・アマに広く愛された名機PENTAX 645(フィルム)の正統後継機なのですから、それも当然でしょう。

PENTAX 645 Digital の発売は来年、価格は100万円を切る、と現時点では発表されています。
最終的にいくらになるかはともかく、決して安いカメラでないことは確かです。
しかし、ハッセルブラッドやリンホフのように、風景写真家として持っていたい、使いこなしたい、という意欲をかき立てられる特別なカメラの一つになる、そんな期待感を抱かせるに十分な可能性を秘めていると感じました。
果たして本誌読者の皆さんが、再び走り始めたこの“跳ね馬”の挑戦をどう受け止めるのか、興味深いところではあります。





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2008 美しい風景写真100人展《福岡展》
【会期】
5月8日(金)〜5月21日(木)
9:00~17:30(土曜日15:00、最終日は14:00まで)

【会場】
富士フイルムフォトサロン福岡
TEL 092-510-4803
アクセス:
福岡市博多区住吉3-1-1 富士フイルムビル1F
JR「博多駅」より歩約


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by fukei-kaoru | 2009-05-01 17:15 | 風景写真

2008・100人展ファイナル まもなく開催!

2008 美しい風景写真100人展のラストを飾る《福岡展》が、5月8日(金)より富士フイルムフォトサロン福岡で開催されます。
私も初日8日は会場に居ります。
2008・100人展の展示はこれが最後。ぜひ、会場で作品の魅力を堪能してください!

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2008 美しい風景写真100人展《福岡展》
【会期】
5月8日(金)〜5月21日(木)
9:00~17:30(土曜日15:00、最終日は14:00まで)

【会場】
富士フイルムフォトサロン福岡
TEL 092-510-4803
アクセス:
福岡市博多区住吉3-1-1 富士フイルムビル1F
JR「博多駅」より歩約


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by fukei-kaoru | 2009-04-30 14:02 | 風景写真

ありがとう

とても残念なニュースをお伝えしなければなりません。

ペンタックス645N IIと67N IIの生産終了が発表されました。
共に風景写真の分野ではユーザーからの信頼が厚く、特に645N IIは、フィルムによる風景写真のスタンダードと言ってもいい存在だっただけに、私としても残念でなりません。
おそらく、本誌読者の皆さんにも、さまざまな想いがあると思いますが、一つだけ言いたいのは、このことをすぐに「フィルムによる写真表現の終焉」に結びつけないでほしいということ。
カメラの生産が終わったとしても、まだ世の中には現役で稼働し、作品を生み続けているカメラが多くあるのです。
欧米ではフィルム写真の美しさ、価値が見直される機運もあるようです。

私はフィルムによる風景写真が好きです。
デジタルカメラも好きですし、デジタルならではメリットがあることも十分承知してしますが、リバーサルフィルムにはリバーサルフィルムならではの美しさがあることも確かなことです。
何より、写真家が出合い、写した瞬間が、唯一無二のフィルムという形ある“もの”に結晶するのは、デジタルには絶対になし得ない、フィルムだからこその価値だと思っています。

とにかく、風景写真を支えてくれた名機、ペンタックス645N IIと67N IIにありがとうと言いたい。
いつの日か、また還ってきてくれることを願って。
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by fukei-kaoru | 2009-03-24 11:51 | 風景写真


『風景写真』11-12月号発売中です


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