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東京フォトグラファーズ・アンダーグラウンド

この数日、東京は暑い日が続いています。

4日、金曜日の夕方、私は東京都写真美術館で7月5日(土)から一般公開が始まる今森光彦さんの写真展「昆虫 4億年の旅 進化の森へようこそ」のプレスレセプションに出かけました。
夕立の気配が近づく蒸し暑さの中、会場に着いた私の衣服は汗でぐっしょり……。
ちょっと気恥ずかしい思いを感じつつ、オープンより1時間遅れて会場に入りました。
外はずぶずぶ、中はからからの身体を引きずり、それでも素晴らしい展示に見入った後、そろそろ引き上げようかと思っていたところで業界の友人とバッタリ。
その方は、多分、ぐだぐだの私の様子を見て、よほど哀れに思ったのでしょう。
開口一番、私が最も聞きたかった一言を言ってくれました。
「ビール、飲みにいきましょうか」
その言葉にすがりつく以外に私に何ができたでしょうか。
私は「はい」と言ったきり、もう言葉が継げませんでしたよ。

という経緯があって、冷た〜い生ビールで喉を潤した後、その方が行きつけの新宿某所の飲み屋に行くことになりました。
そこは写真関係者が集まる知る人ぞ知るお店で、以前から連れて行ってほしいと頼んでいたのです。

ドアを開けると、そこは思っていた通り、ちょっとアングラな雰囲気。
カウンターだけの狭い店内には、煙草の煙と写真談義が充満し、気軽にドアをくぐれない気配が漂っています。
店内では、いつも小さな写真展が行われていて、この時飾られていたのは、ある女性写真家の作品でした。
たまたま、私たちが身体をこじ入れた席は、左隣が出展している女性写真家で、右隣はその師匠というポジション。カウンターに置かれた私たちのグラスの上を、師匠の厳しい言葉が次々と通り過ぎていきます。
「今さら、こんなつまんない写真撮っててどうすんの?」
「この写真は何? これだけ他のと全然違うよね?」
「だいたい、お前は初めから間違ってんだよ!」
“初めから”って、そんなみもふたもない……。
しかし、女性写真家も堂々としたもので、片手に煙草、片手にビールグラスで、師匠の言葉を受けています。
風景写真の世界では、あまりこのようなストレートな批評は耳にしないので、ちょっとヒヤヒヤしましたが、互いに信頼関係があり、愛情ゆえの箴言であることはすぐにわかりました。

他者の作品を語ることは、時にその人の内面の奥深くに触れることにもなり、迂闊な批判は深刻な対立になりかねません。
しかし、真剣に創作に打ち込むのであれば、心地よい意見ばかり聞こえる環境に身を置くことが自分のためになるかは考えどころです。
厳しくも愛情ある師匠や、信頼の置ける仲間に恵まれることも、あるいは写真作家としての道を拓く大事な要件であるかもしれませんね。
もちろん、本人が聞く耳を持っていることが前提ですが。

話が大きく、横道にそれましたが、今森さんの写真展、ホントによかったです。
特に男性は、昆虫図鑑に見入った少年時代を思い出し、胸が高まる体験ができる展示だと思います。
私も、是非もう一度、子供達を連れて観に行きたいと思っています。

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by fukei-kaoru | 2008-07-06 01:02 | プライベート


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