風景写真タイトル改善計画ーその3

良いタイトルを付けるコツが一つあります。
それは、「良いタイトルを付けようと考えないこと」です。

ちょっと分かりにくいですね。
例えば、こういうことです。
皆さんはその1その2で紹介した作品とタイトルから、作者が無理にタイトルをひねり出している印象を受けるでしょうか?
そうではなく、おそらくごく自然に心に浮かんだ言葉をタイトルにしていると感じる人が多いと思います。
なぜなら、作者は風景から受け取った主観的な印象をフレーミングしているのですから、タイトルに込められたイメージはすでに撮影しているときには作者の頭に作られていたはずなのです。
あとは、そのイメージに合う言葉を見つけるだけです。
作者ご本人は「そこが難しいんだよ」というかも知れませんが、少なくともタイトルの方向性は見えているわけですから、対象となる言葉はかなり絞られているはずです。

つまり、タイトルを付けることは、「良いタイトルを付けよう」とゼロから「考える」ものではなく、作品を撮った狙い、作品で描きたかったイメージに合う言葉を「探す」あるいは「選ぶ」作業だと言えます。
タイトルを付けるときになって、言葉の海の“どこを探せばいいかわからない”というのは、自分が何を撮ろうとしていたのかがわかっていないということにもなるのです。

ただし、その1その2でで紹介したのは、本誌のフォトコンテストに入賞した極めて優秀な作品であって、誰もがいつでもこのような視点を持てるわけではありません。
まずは、被写体の美しさに感動したのであれば、素直にその想いをタイトルにするところから始めれば良いのです。
被写体のそのもの名前をタイトルにしてはいけないということもありません。
作者の視点を素直に表したものは、巧くはなくても悪いタイトルではないのです。

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Copyright(c) 風景写真出版

作品は『風景写真』2007年11-12月号のフォトコンテスト・テーマ部門「未来」に入賞した、米田利昭さんの作品です。皆さんなら、この作品にどんなタイトルを付けるでしょうか。

一緒に作品を“読んで”みましょう。
画面はわずか二つの要素だけでシンプルに構成されています。
一つは寺院らしき建物、もう一つは不気味な雲が広がる空です。
この内、作者がこの場面でより強く心を惹かれているのは、どちらでしょう。
この場合は、画面一杯に大きく捉えられた空であることは明白です。
そこから、この作品に「不気味な空」「暗雲」といったストレートな印象をタイトルにしても、まったく問題はありません。むしろ、捻りすぎるよりは作品の印象を素直に伝えてくれます。

実は、この作品には「不安」というタイトルが付けられています。
作者は、被写体の見た目の様子ではなく、自分の心に感じた印象をストレートにタイトルにしているのです。
まさに臨“情”感を感じるタイトルと言えるでしょう。
これが主観的風景写真です。

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林 幸恵写真集「夢色の世界」
縦200ミリ×横225ミリ 96ページ
税込価格:2,500円
お問い合わせ:風景写真出版(03-3815-3605)


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by fukei-kaoru | 2007-12-02 13:04 | 作品タイトル


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