風景写真タイトル改善計画ーその2

風景写真を鑑賞したときの“まるで、その場にいるような感覚”は、大きく2つに分けられます。それは臨場感と臨“情”感です。
どちらも、その場にいるような感覚のことですが、特に風景写真においては、前者は風景のディテール、質感、遠近感などをリアルに伝えている写真から感じることが多いようです。
一般的に、このような観賞感覚は主に克明描写によって得やすいと言えるでしょう。つまり、抽象よりは具象、ボケよりはピントのあった表現です。

一方、臨情感は、風景の前に立つ、作者の感情や感覚がリアルに感じられることを言います。
臨情感のある作品からは、作者の心の中に浮かんでいた想い、五感で感じていた感覚などが自分のものとして感じられ、あたかも自分がその場に立って風景を見ているような感覚にとらわれます。
その感覚のことを私は臨情感と呼んでいますが、造語なので辞書には載っていません。

臨場感と臨情感は相反するものではなく、二つを共に備えた作品もあれば、どちらかの要素が強い作品もあります。また、どちらの要素が強い方が優れているということでもありません。
ただ一つ言えることは、前回に述べた主観的風景写真では、後者の臨情感が大事な要素となるということです。そして、臨情感を伝えるにはタイトルの役割が非常に重要なものとなります。

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Copyright(c) 風景写真出版

写真は『風景写真』2007年1-2月号フォトコンテスト・テーマ部門[音]で優秀作品賞を獲得した本田雄一さんの作品です。
皆さんは、この作品の映像から何を感じるでしょうか。
雪に覆われた真冬の風景。
画面中央で笹が風に吹かれて揺れています。
一見すると、厳しい寒さを表現しているかのように思えます。

実は、この作品のタイトルは「はにかみ屋」と言います。
タイトルを知ると、作者がなぜ笹を画面中央に大きく捉えたのか、その笹を幹の後ろに少し隠した意味、どうして笹がぶれているのか、といった作画意図がくっきりと浮かび上がってきませんか?
それがわかれば、寒さの中で、足元の笹の葉が風に揺れる様に、温かな眼差しを向けていた作者の心情に、自分の気持ちを重ねていくこともできるはずです。
それが臨情感なのです。

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林 幸恵写真集「夢色の世界」
縦200ミリ×横225ミリ 96ページ
税込価格:2,500円
お問い合わせ:風景写真出版(03-3815-3605)
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by fukei-kaoru | 2007-11-21 21:38 | 作品タイトル


『風景写真』11-12月号発売中です


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