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3D映画を観て、写真の未来を考えた

今年は割とよく映画を観ていて、これまでに「アバター」「アリス・イン・ワンダーランド」「タイタンの戦い」の3本を劇場に観に行きました。学生の頃には月に5、6本観ることも珍しくありませんでしたが、最近ではこれでも多い方です。
お気付きになった人もいると思いますが、この3本、いずれも3D 上映作品です。話題作ばかり観に行っているせいでもありますが、たまにしか映画を観に行かない私でさえ、観る映画がすべて3Dというほど、3D映画は当たり前のものになってきているのですね。

3Dと言えば、GW中、家族で東京ディズニーランドに行ってきたのですが、そのアトラクションの一つに「ミクロ・アドベンチャー」というのがあります。大画面に映し出された3D映画で、観客にまるで自分が小さくなってしまったように錯覚させるものですが、8歳の息子を連れて入ったところ、「イヤだ〜、小さくなりたくない〜〜〜!」と大パニック。3Dによる作り物の世界も、子供にはリアルな体験に感じられるようです。って言うか、弱虫にも程があるって!

ところで、こうした3D映像を観ていると、仕事柄当然「写真で3Dはどうなの?」というところに思いが至ります。最近、3Dが撮れるデジタルカメラや、3Dのテレビも登場し始めていますので、今後広まる可能性はありますが、個人的な意見としては主流にはなりえないんじゃないかなと思っています。
そもそも、家庭のテレビやパソコンなどで手軽に3D映像が観られるようになったとして、静止画の写真を観ることに使うでしょうか。私も映画などの動画なら観たい気がしますが、静止画の写真作品を真剣に観るとは思えません。
それは表現として静止画が動画に劣るということを意味しているのではなく、3Dによる表現がどちらかと言えば動画向きであることと、テレビやモニターの画面は静止画の写真作品を鑑賞するメインフィールドにはなりえない、ということではないかと私は思います。

とは言え、3Dに限らず、写真のデジタル化が進み、iPadなどのデバイスが登場したことによって、写真を鑑賞する環境は今後ますますパソコンのモニターなどを利用することが増えていくことは確かでしょう。
しかし、それは同時にスチルとムービーの鑑賞環境が同一になるということでもあります。
撮る道具も、観る環境も、写真と動画の境がなくなったとき、写真になにが起きるのか……。
そう考えてみると、最近のデジタル一眼レフカメラへの動画機能の搭載はスチル写真の未来を示唆しているようにも思えます。

これから表現、アートとしての写真を志す写真家が、作品を発表する主戦場をWEBや電子媒体に置くのか、紙媒体やプリント作品に置くのか、あるいは他の何かに置くのかは、難しい選択になってきていることは確かだと思います。
全体的な傾向として写真という分野がさらなるデジタル化に邁進していることはわかっていますが、みんな同じ方向に向いて進んでいくことが、必ずみんなの幸せに結びつくのか……。
もちろん、私は写真の可能性を信じていますが、写真のデジタル化や便利な電子デバイスの普及が、写真の将来にバラ色の未来を開くかのような安直な考えに共感する気持ちにはなれないのです。
by fukei-kaoru | 2010-05-06 20:58 | 風景写真


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