癒されない風景写真

「風景写真を見ていると息が詰まるような気がした」

先日、あるデザイナーの方からこんなことを言われました。
「撮っている人の思い入れや緊迫感が伝わりすぎて全然癒されない。だから自分の作品に風景写真を使おうとは思わなかったんです」
この人の見方は、一面的なものかもしれませんが、私にとっては驚くべきものではありません。
なぜなら、これまでにも同じようなご意見を聞くことは少なくなかったからです。

すべての風景写真が、このデザイナーの方が言うようなものというわけではありません。
しかし、一方である部分の風景写真が、瞬時に気持ちを捉える画面の強さを追求する方向に向かっていることも事実だと思います。
それがいけないことだとは思いませんが、それがすべてというわけでもありません。

風景写真の映像を印象強いものに作る方法論は、概ね確立していると思います。また、風景写真のフレーミングの考え方を教える場合、ある程度のレベルまでは、(指導者が意識しているか、いないかは別として)その方法論に則って教えざるを得ません。
しかし、写真を印象強く見せる方法論を極めていけばいくほど、見る側には作者の狙いや仕掛け、画面の組み立てが見えてしまうのです。
綿密に構成されたすきのなさは、ときに気負いやあざとさと感じられ、前述のデザイナーのように写真の専門家ではない人には息苦しさや過度な思い入れと受け取られることがあるのだと思います。

風景写真には方法論や技術論では語り尽くせない“その先”があります。
非常に難しいことですが、見る側に狙いを狙いとして感じさせない、画面の組み立てを意識させないというのも、風景写真としては高度な表現のステージだと思います。
そういう写真には癒しが感じられたり、長く見るほどに伝わる味わいが宿るものです。
ところが、残念なことに、そのような写真は“写真がわかっている”はずの人から、「よくわからない」とか「つまらない」、時には「ヘタ」と評されてしまうことが多いのです。
正直、悩ましい。
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by fukei-kaoru | 2009-05-21 10:57 | 風景写真


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